人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

疾風谷の皿山…陶芸とオートバイと古伊万里と

大好きな陶芸、オートバイ、古伊万里、篆刻など  日々の生活を紹介しています。


by hayatedani

オメデタイうつわ

オメデタイうつわ_f0126896_14113131.jpg
古伊万里福寿文蓋茶碗 江戸後期


オメデタイうつわ_f0126896_14124275.jpg
江戸時代 磁器の器は現代ほど一般の家庭で買えるようなものではなかったようです
いまでこそ100均ショップで手軽に購入できるとお思いの方も多いのでしょうが
100均に並んでいる器と江戸時代の磁器には大きな違いがあります

それは江戸時代の磁器は一つ一つ職人さんの手仕事から作られているということ
100均の器はすべて機械を使って出来上がっています

造形は型に泥漿を流し込み、絵付けもプリントを焼き付けています
その証拠に、100均に並んでいる器はどの器も寸分違わず同じ形で、同じ絵付けになっています
工業製品としては誠に効率的に作られていますが、なんかとっても味気ない

反対に職人さんが創った器は、絵付けがずれていたり造形が少し歪んでいたりと
今の目で見ると、工業製品としての質が少し劣っています
でも、その不揃いさが器の味になっているのです
プリントで描かれた絵付けよりも、職人さんが描いた手慣れた絵付けの
なんと情緒的なことか



オメデタイうつわ_f0126896_14125581.jpg
白磁の器に上絵で福寿を散らしています
赤と緑の「福文字」と、青と金彩の「壽文字」

何となく少しづつ位置がずれているのも、手仕事らしくて愛らしく感じます


オメデタイうつわ_f0126896_14130988.jpg
見込みの中心には赤い字で窯印を描いています



オメデタイうつわ_f0126896_14132435.jpg
見込みにも赤の福字が描かれています
食事をいただいたあとから、赤い福字があらわれてくる
なんとも洒落ています


オメデタイうつわ_f0126896_14133964.jpg

米を茶で炊いた「茶粥」は、奈良では郷土料理として古くから親しまれてきました。
江戸時代、明暦の大火後の江戸で爆発的に「奈良茶飯」と称されるものが人気を博しました。

江戸では茶飯を食べさせる料理屋がいくつも出来、茶飯を食するための器として、蓋付きの茶碗が考案されされたそうです
それを「奈良茶碗」と呼んでいたとのこと

これらの蓋茶碗は一般の家庭でめしを食べるための器だけでなく
奈良茶飯を食べさせる、外食用の器という側面もあったようです


オメデタイうつわ_f0126896_14140303.jpg
白い磁体をベースに、赤い「福字」がなんとも可愛らしい
宴会や催事の時に使われたうつわなのでしょうか
それとも、お江戸の奈良茶飯屋で町娘の女子会の時にでも使われたものかも

どちらにしても、楽しい会話や笑い声が聞こえてきそうな器です

オメデタイうつわ_f0126896_14141215.jpg
オメデタイうつわ_f0126896_14143386.jpg

by hayatedani | 2021-02-21 15:53 | 古伊万里 | Trackback | Comments(0)